『ぼくには数字が風景に見える』1

ぼくには数字が風景に見える

ぼくには数字が風景に見える

Born On a Blue Day

Born On a Blue Day

最近読んでいる本です(洋書)。
まだ4分の一しか読んでいないですが、かなりおもしろいです。
この本を知ったのは、翻訳関係の冊子の本のレビューコーナーでした。
著者は、高機能自閉症サヴァン症候群アスペルガー症候群の方なのですが、数学に関して非凡な才能を持っているとのことで、興味がわいたのでした。
サヴァン症候群というのは、映画『レインマン』のお兄ちゃん役の病気と一緒だそうです。
あの映画の中でも、お兄ちゃん(ダスティン・ホフマン)は数学の才能を見せていたそうで(見たことあるのですが詳細忘れた)。
昔から数学にあまり興味のない私は、最近数学の勉強を始めたこともあり、数学の得意な人の話でも読んでみようかと思ったのでした。
さて、読んでみると。
最初の章は、著者の簡単な自己紹介と数字に対する感覚についての記述があります。
それを読むと、数学が「得意」とか、そういう次元の話ではないことがわかります。
音楽には「絶対音感」というものがあるそうですが、そのようなものでしょうか?
著者によると、数字は小さなころから彼の友達であるそうです。
数字にはそれぞれ色があり、形もあり、数字から得られる感覚もひとつひとつ違うそうです。
11はフレンドリーで、5はうるさく、4はシャイでもの静かだそうです。(^^;)
一方、著者は素数を非常に美しいと感じ、数字の中でも浮き上がって見えるそうです。
素数:割り切れる数が1とその数字だけという数のこと。
著者は自分の数字に関する感覚を言葉で記述していますが、ページによっては、絵で表現しています。
たとえば、原書の3ページには、数字の37と89が彼にはどのように見えているかをイラストで書いています。
37は羽のような感じ(形容しがたい)で、89は小さい水玉のようなものがたくさんあります。(^^;)
また、彼は大きな数字の暗算を瞬時にしてのけるのですが、その答えがどのように出てくるのかについても絵で説明しています。
それによると、たとえば53と131の掛け算は、右端と左端に53と131のイメージがあり、真ん中に、二つの数字をつなぐ形で、それを掛けた数字である6943のイメージが浮かび上がってきています。
ここで注意してほしいのは、彼にとっては数字は数字の形そのものではなく、別のイメージでとしてとらえていることです。
この掛け算の絵でいうと、53は洋ナシのような形、131はひょうたんのような形で描かれています。
こういう、自分とはまったく違う感覚があるということを知るというのは非常におもしろいですね。
著者によると、高機能自閉症の方で、自分の感覚を人にわかりやすい形で説明することができる人は珍しいらしいです。
自閉症の方で驚異的な数学の才能を持っている人は少なくないのかもしれませんが、言語的なコミュニケーションに問題があることも多いようなので、たしかに、それを説明する人はあまりいないかもしれませんね。
そういう意味で、この本はかなり貴重であるといえるのではないでしょうか。
おすすめです。
ちなみに本のその後の構成は、著者の半生を、生まれたところから順に書いています。
今私が読んでいるのは、小学生低学年のころの話です。
ちまちまと読み進める予定。
*原書の英語は平易で読みやすいです。